page contents

ABWはオフィスレイアウトと生産効率を変えられるのか?変えられると思います!

はじめに

ABW (Actvivity Based Working)をご存じでしょうか。

オランダの企業で実装され、日本ではイトーキさんが推奨している、「10の活動」に基づいた、オフィスレイアウトの考え方です。
イトーキさんは、ワークスタイル戦略と表現しており、レイアウトだけではなく、「10の活動」に基づいた作業スペースを効果的に運用することを想定されていると思います。

私は、の効率や成果は、全てモチベーションから発生するものだと考えています。
やる気が出ないときほど、成果が上がらない瞬間はありません。
だから、社員のやる気をあげることは、本来、会社として1,2を争うくらい重要な要素だと思っています。
コンプライアンスとか、利益とか、他にも重要なものがありますが、これらは社員が作り上げるものと思っています。

今回の記事では、ABWの概要、メリット等を説明していきます。
ちなみに、フリーアドレスを比較する記事もありますが、私はそれは論点が違うと思っています。

では、説明していきます。

ABWの概要

10の活動について

ABWを説明する前に、まずは「10の活動」について簡単に説明します。
こちらのイトーキさんのサイトにある図が分かりやすいです。

大きくは、1人でのワークスタイル、2人でのワークスタイル、3人以上でのワークスタイル、それ以外と分けます。
さらにそれぞれの環境の特徴を書きます。

  • 1人用
    • 深く集中したいときに周りと遮断できる環境
      →一人用のスペースであり、周りから影響されない個室。
    • 事務作業や同僚と会話しながら、など、浅い集中での環境
      →特に仕切りの無い、同僚と話ができる空間。
    • 電話やWEB会議のように、他社と遠隔で連絡するための環境
      →個室は個室でも、WEB会議ができるような、一定の設備がある部屋。
  • 2人用
    • 2人で横並びになって作業を行うなど、2人でじっくりと時間をかけて作業を行う環境
      →小さめの会議卓で、ホワイトボードやPCの電源など、じっくり作業ができる部屋。
    • 打合せや相談など、予約した会議だけではなく、突発的な会話を許す環境
      →2席から4席くらいの卓があって、閉鎖的ではなく、ぱっと見で使えるか分かるような会議卓。
  • 3人以上
    • ブレインストーミングのようにアイディアを出し合うような環境
      →巨大なディスプレイやホワイトボードなど、コラボレーションできる設備のある大き目の部屋。
    • 定例会議など、より的な会議を行う環境
      →平均的な会議の参加人数を勘案し、その人数が入るくらいの部屋。
    • 講演者が話し、それをみんなが聞くような環境
      →講演ができるくらいの大きな部屋。おそらく一番大きい部屋。マイク、スピーカーがあると良い。
  • その他
    • リラックス、リチャージできる仕事と離れた空間
      →バーカウンターのように、不意に誰かと話せる空間づくりが良い。
    • 専門設備、機材のある部屋
      →必要か?とも思いますが、普段使われないような設備や機器があれば、それ用の空間。

10の活動をどう反映するのか

まずは、普段の業務から、10の活動の頻度を計測します。

次に、変えた後に、10の活動のうち、どれを増やしたいのかを考える。

あとは、人の導線やコストなんかを考えつつ、実際のレイアウトに落とし込んでいくわけですが、一番大事なのは、次にどう変えたいのか、です。
また、必ずしも10に分けなくても良いと思います。
深い集中部屋とテレビ会議の部屋、2人でじっくり作業部屋とアイディア部屋、など、オフィスの広さは無限じゃないので、できる範囲で工夫していきましょう。

ABWとフリーアドレス

ABWとフリーアドレスを比較する記事があったりしますが、ABWはあくまで環境づくりの考え方であり、席を固定にするのも、自由にするのも、決めていません。
例えば、浅い集中する席をフリーアドレスにしても、固定にしても、浅い集中ができる席に変わりありませんよね?

なので、フリーアドレスとABWを対比して論じるのは的外れだと思います。

ABWのメリット

パフォーマンスを維持する環境が作れる

一人で深く集中できる個室、息抜きができる開放的な空間、アイディアが欲しい時のコラボレーションルームなど、生産的な活動に必要なスペースを、あらかじめ用意できるところに大きなメリットがあります。

生産性の向上は数値化が難しいですが、集中したいときに限って同僚に話しかけられたり落ち着いて考えられる場所を探したりリラックスするためにビルの外の喫茶店まで歩いたり、そんな非生産的な活動に思い当たることが無い人はいないと思います。

そういったちょっとした噛み合わなさが無くなるだけで、仕事がしやすく、楽しくなると思いませんか?

意識せずつながりが持ててしまう

これって結構大事で、ちょっとしたアイディアや解決策というものは、人との会話から生まれたりします。
ちょっと困っててさ、なんて愚痴ってみたら、頭が整理されて気づいたら解決策が浮かんでいた、なんてことありませんか?

また、実際に海外では、ABWを実践したオフィスでの従業員の定着率が高い(向こうは契約による就業なので日本よりさくっと辞めてしまう)、という調査結果があります。
これは、同僚とのコミュニケーションを円滑にできる空間づくりが、功を奏した結果だと考えられます。

意識してつながりを持とうとすると、気恥ずかしかったり、他に時間を取られて後回しになってしまったり、なかなか実現しないですが、こうやって空間それ自体がつながりを持てるように作られていることで、そういった労力を抑えてくれるのです。

おわりに

オフィスレイアウトに体系的な考え方があること自体、最近知ったのですが、知れば知るほどこれを実践しているオフィスがうらやましくなります(笑)

レイアウト自体を変えるような大きな変化はなかなか発生しないですが、の一環として、会社に提言してみるのは無駄ではないと思います。
日本は良くも悪くも言った人がやる文化があるので、率先して発言すれば、レイアウトを好きにできるかもしれません(笑)